生成AI、盛り上がっていますよね。私もAI界隈のエンジニアを2015年ごろからやっておりましたので、技術推移を追っていますが年々技術の進展が早くなっており、さらにユースケースも広がったために全く把握ができなくなっています。
本記事では、日本および海外の、主に上場済み生成AI関連企業を広範囲に調査し、それぞれの特徴を比較してみました。
比較ポイントとしては、技術力、市場シェア、事業モデル、提携先やエコシステム、財務状況、競争優位性などを対象としています。ではどうぞ。
1. 対象企業の概要
- NEC(日本電気) – 日本の大手ICT企業で、AI研究開発に注力。生成AIを含むソフトウェア領域で存在感があり、国際会議への論文投稿数では世界上位(AI国際会議への論文投稿数で世界10位 1)。2023年には日本企業向け大規模言語モデル(LLM)開発を発表し、社内向け生成AI活用も進めています 2。
- 富士通 – 大手ITベンダー。AIプラットフォームやサービスを展開し、産業向けソリューションに生成AIを組み込み。研究部門でAI関連の特許も多数取得。
- NTT(日本電信電話) – NTT研究所を中心に日本語特化のLLM開発やAI基盤研究を推進。NTTは生成AI関連特許を330件保有し、世界企業ランキングでトップ10圏内に位置付けられています 3(国内企業では最大)。
- ソニー – エンタメ領域でAIを活用。画像生成や音声合成、ゲームAI研究などを行い、生成AI特許218件でグローバル上位にランクイン 3。自社コンテンツへのAI適用にも注力。
- Preferred Networks(プリファードネットワークス) – 未上場だが評価額数千億円規模とも言われる日本発のAIスタートアップ。自社開発のディープラーニングフレームワークや、トヨタ・ファナックなどと提携した産業向けAIで知られる。近年は生成AI計算向けの専用半導体を内製し、ハード不足解消と省電力化を図る戦略 4。2023年に第2世代AIチップをTSMCで製造開始し、大規模言語モデルの構築サービス提供や創薬への応用を計画しています 4。
- その他国内: 日立製作所(社会インフラ×AI)、Exawizards(東証上場のAIスタートアップ、医療・介護向けにAI活用)、HEROZ(将棋AI発祥で金融向けなどにAI提供)など、多数の企業が生成AIに関与。スタートアップではABEJA(AIプラットフォーム)、Ghelia(生成AI活用ソリューション)、rinna(日本語特化の対話AI開発)等が挙げられます。
- OpenAI – ChatGPTやGPT-4を開発した米AI研究企業(未上場)。マイクロソフトからの巨額出資を受け、API提供や有料版ChatGPTで収益化。2024年には収益10億ドル(約1400億円)規模を見込み、2025年には116億ドルへの急拡大を予測しています 5。評価額も2024年に約1,570億ドルと、未上場企業で世界トップ級 6。
- マイクロソフト – OpenAIに累計約100億ドルを出資し提携 7。Azureクラウド上でOpenAIモデルをサービス提供し、自社のOffice製品や検索(Bing)にChatGPT機能を統合 8。B2B向けに「Copilot」製品群を展開。
- Alphabet(Google/DeepMind) – 検索大手のGoogleと傘下のDeepMindは最先端AI研究を牽引。Transformer構造を生んだ研究者を擁し、画像生成(Imagen)や対話モデル(Bard、PaLM2)、次世代LLMのGeminiなどを開発。AI関連特許も多数保有(生成AI特許443件 3)。検索・クラウドに生成AIを実装中。
- Meta(旧Facebook) – 大型AIモデルをオープンソースで公開する戦略を採用。2023年に公開した「Llama2」は無償提供され、コミュニティによる改良を促進 9。Mark Zuckerberg曰く「オープンソースAIが閉鎖型モデルに急速に追いつきつつあり、費用効率や改変の柔軟性で優位性を持つ」とされています 10。2024年には4050億パラメータのLlama3.1モデルも公開し、産業界との協業でエコシステム拡大を図っています 10。
- Amazon – クラウド(AWS)の王者。自社でも対話AI「Bedrock」サービスを開始し、OpenAIの競合Anthropicに総額80億ドルの出資を表明6。AnthropicのClaudeモデルをAWS経由で提供し、主要クラウドとして囲い込み中 6。また推論・学習用の独自AIチップ(InferentiaやTrainium)を開発し、コスト削減を図る。
- NVIDIA – GPU(グラフィック処理装置)メーカーから、生成AIブームの“インフラ提供者”。AI計算向けGPU市場の70~95%を支配する圧倒的シェアを持ち 11、「AI時代のつるはし・スコップ役」と称されます 12。大規模モデルのほぼ全てがNVIDIAのチップ上で訓練・実行されており、AI需要急増で売上・株価が急騰。2023年には時価総額1兆ドルを突破、わずか8か月で2兆ドルに倍増するという米企業最速の成長を遂げました 12。ソフトウェア面でも生成AI開発フレームワークやクラウドサービス(NVIDIA AI Foundationなど)を提供。
- IBM – 企業向けAI「watsonx」を2023年に投入し、既存ビジネスに生成AIを取り込む戦略 3。データセキュリティやコンプライアンスに焦点を当てたプラットフォームを強みとし、生成AI特許保有数では米企業トップ(601件) 3。長年の研究開発投資でAI関連総特許数でも世界上位。
- Anthropic – OpenAI創業者らが立ち上げた米AIスタートアップ。対話型LLM「Claude」を開発し、ChatGPT競合として注目。Googleが初期に出資し、2023年にAmazonが最大40億ドルの追加出資を発表 6。クラウド事業者との提携でモデル提供し、評価額2~300億ドル規模と見られる。
- Stability AI – 英国発のスタートアップ。画像生成モデル「Stable Diffusion」をOSSとして公開し、生成AIブームを画像分野で牽引。収益は企業向けチューニングやクラウド提供。「オープンな画像生成エコシステム」を構築し、AdobeやCanvaなどとも競合・協業。
- 中国企業 – Baidu(百度)は大規模チャットボット「文心一言(ERNIE)」を開発し、中国版ChatGPTとしてサービス提供。Tencent(騰訊)はWeChat等自社アプリに生成AI機能を組み込み予定で、生成AI特許数では世界最多の2,074件を保有するなど技術投資を強化 3。Alibaba(阿里巴巴)もAPI経由で対話AI「通義千問」を提供開始。中国勢は国策の支援も受けつつ、自国言語・市場向けに最適化。
- その他 – Adobe(Fireflyで画像生成をクリエイター向け提供)、Salesforce(生成AIでCRM高度化、「Einstein GPT」提供)、Oracle(自社クラウドに生成AI機能統合)、C3.ai(NYSE上場のAI企業、企業向けAIソリューションに生成AI組込)など、幅広い業種の企業が生成AIを事業に取り入れています。
以上の企業群を中心に、日本と海外の生成AI企業について技術力、市場シェア・成長率、事業モデル、提携先・エコシステム、財務状況、競争優位性の観点で比較します。また株価成長の要因や主要ユースケースについても分析します。
技術力(研究成果・特許・技術の独自性)
技術力の指標として特許数を見ると、生成AI分野では中国企業が突出しています。騰訊(Tencent)が2,074件で世界最多、平安保険1,564件、百度1,234件と上位を独占 3。米国勢トップのIBMでも601件 3で4位、次いでAlphabet(Google)443件、Microsoft377件と続きます 3。日本企業ではNTTが330件で世界11位に入っており 3国内トップです。ソニーも218件でランクインしています 3。富士通やNECもAI関連特許は保有しますが、生成AI特許に限ればトップ20外です。特許動向から見ると、日本企業は特定ニッチ分野や日本語処理など独自領域に注力し、米中のような網羅的特許戦略とは一線を画しています。
OpenAIのGPTシリーズやDALL·E、GoogleのTransformerやBERT、MetaのLlamaなど画期的モデルを開発したのは主に米国企業です。日本企業も独自モデル開発を進めており、例えばNECは日本語に特化した自社LLMを2023年に社内導入し、高度な業務自動化を実証しました 2。また、産総研や東大・理研など学術機関とも連携し、日本語大規模データセットや1750億パラメータ規模の国産LLM開発プロジェクトが進行中です 13。これは日本政府の支援するプロジェクトで、Morphoなど企業も協力し日本語学術論文のデータ化などに取り組んでいます 13。
巨大モデルを扱う計算インフラも技術力の一部です。NVIDIAのA100/H100 GPUが事実上の標準となり、Googleは独自のTPUを開発、TeslaやAmazon、Microsoftも自社設計のAIチップ開発に乗り出しています 4。日本ではPreferred Networksが少ないリソースでも効率良くAIを動かすため、自社開発チップ(MN-Core)を2016年から設計し、2023年に2世代目をTSMCで製造 4。このように計算資源の内製化も技術独自性の一つと言えます。中国でもHuaweiやAlibabaがAIチップ開発を進めており、各国でハード面の競争も激化しています。
総じて、海外大手は基盤技術から応用サービスまでフルスタックで先行し、世界中の優秀な研究者や巨大な計算資源を投入しています。
日本企業はリソース面で劣るものの、日本語や特定ドメインに絞った研究、エッジデバイス向け省電力AI、独自ハード開発などニッチ戦略や効率化技術で独自色を出しています 1。
例えば中国スタートアップの革新的研究(少ないGPUで高性能AI)に刺激を受け、PFNの岡野原氏が「GPUが少ない企業でも工夫次第で大規模AIを実現可能」と述べるように 1、日本勢もアルゴリズムの効率化で巻き返しを図る姿勢です。
市場シェア・成長率(収益成長・事業規模)
生成AI市場は黎明期ながら、一部領域で寡占が見られます。例えばAIインフラ(GPU)市場はNVIDIAが最大95%占有と報じられ 11、モデル提供でもOpenAIのChatGPTが消費者向けで突出しています。ChatGPTは公開2か月で月間1億ユーザーに達し「史上最速のユーザー増加」を記録 14、以後も利用者を伸ばし事実上の標準となりました。
一方、競合のGoogle BardやAnthropic Claudeはユーザー数で後れを取り、対話AIサービスのシェアはOpenAI (+Microsoft) がリードしています。画像生成では初期に公開されたStable DiffusionやMidjourneyがユーザコミュニティを獲得し、AdobeのFireflyが商用で参入するなど群雄割拠ですが、特定の収益シェアはまだ流動的です。企業向けでは、MicrosoftがAzure経由でOpenAIモデルを提供しクラウド市場で優位、AmazonもAnthropic提携で追随する構図です 6。
生成AI関連の市場規模は急拡大中です。OpenAIは2022年ほぼ収益ゼロから、2023年に2億ドル、2024年に10億ドルと爆発的成長を見込んでいます 15。さらに2025年は116億ドルと、1年で10倍超の売上予測 5が報じられています。クラウド大手もAI需要で恩恵を受け、MicrosoftはOpenAI提携によりAzureのAI利用が増え年間数十億ドルの追加収益ポテンシャルがあると分析されています 16。ハードのNVIDIAは2023年に売上が前年比+101%と倍増し 17、2024年初には前年比+233%という驚異的な予測を出す四半期もありました 12。NVIDIAのデータセンター向け売上は四半期で前年度比3倍超という未曾有の成長を遂げ 12、利益も急拡大しています。
日本市場では、生成AI利用企業の割合自体が米中に比べ低く普及余地が大きい状況です。JPモルガンの調査によれば、生成AIを利用する企業は米国84%、中国85%に対し日本は47%に留まります 1。この低い導入率は裏を返せば伸び代であり、国内各社の売上成長はこれから本格化すると期待されています 1。
実際、NECや野村総研(NRI)といった国内ソフトウェア企業は生成AIブームで株価が上昇しましたが、これは市場の期待先行であり、今後の実需拡大が鍵となります。
米大手は既存事業に生成AIを組み込むことで巨大な収益源を生みつつあります。例えばGoogleは検索広告という数十兆円市場を保持し、検索に生成AIを組み込むことでその市場防衛と拡大を狙っています。MicrosoftもOffice製品(月アクティブユーザー数億人規模)にCopilot機能を付加し、一人当たり月20~30ドルの追加収益を見込むプランを発表しました。
一方、日本の生成AI企業の事業規模は、NECや富士通など大手IT企業内の一事業として数百億円規模に留まるか、スタートアップでは年間売上数億円程度が多い状況です。ただし成長率は国内外問わず非常に高く、生成AI関連サービスは2~3桁成長が当面続くと見られます。例えば、日本の生成AI市場規模は2023年約920億円から年率37.5%で拡大し2030年に数兆円規模に達するとする予測もあります 18。
事業モデル(B2B/B2C、SaaS型、API提供など)
OpenAIのChatGPTのように一般消費者に直接サービス提供するモデルが代表的です。ChatGPTは基本無料でユーザーを獲得し、有料サブスクリプション(ChatGPT Plus)で月額収入を得る freemium 戦略です。画像生成のMidjourneyもDiscord経由で一般ユーザーに提供し一定回数までは無料、以降はサブスクリプションという形です。
一方、日本企業でエンドユーザー直接の生成AIサービスは少なく、B2Cは海外勢がほぼ独占しています。ただ国内でも、LINEが対話AI「AIりんな」をSNS上で公開した事例や、スタートアップの取り組み(例: 小説生成AIアプリやAIチャットボットの提供など)は出始めています。
多くの生成AI企業は企業顧客向け(B2B)のサービスやソリューション提供で収益を上げています。例えば、MicrosoftはAzure上の「OpenAIサービス」としてAPI経由で企業にGPTモデルを提供し、その使用料を従量課金で得ています 8。IBMはWatsonXプラットフォームを企業にライセンス供与し、コンサルティングとセットで収益化 3。
日本でもNECが生成AIソリューション部隊「Generative AI Hub」を社内に設置し、モデルライセンス提供や専用機器込みのコンサルサービスを企業向けに開始すると発表しました 2。富士通や日立も、自社AI技術をクラウドAPIやソフトウェアライブラリとして提供したり、プロジェクト単位で受託開発したりしています。要するに日本企業は従来からのSI(システムインテグレーション)モデルに生成AIを組み合わせた形が多く、包括提案で収益化する傾向です。
生成AIをクラウド上のSaaSサービスとして提供する例も増えています。OpenAIも実質SaaS的にAPIを提供し、JasperやNotionなど他社サービス内で使われています。Adobeはクリエイター向けSaaSであるCreative CloudにFirefly(画像生成AI)機能を統合し、付加価値としています。GitHubのCopilot(コード生成AI)はIDEプラグインとして提供され月額課金のSaaSです。日本ではスタートアップのRadius5(りんな)が日本語特化の生成AI APIを法人向けに提供開始するなど、徐々にSaaSモデルが登場しています。
また、Preferred Networksは最新の大規模言語モデル構築技術を来年から提供し、2027年までに純粋な計算資源提供ビジネス(HPCクラウド)を開始予定としています 4。このように、クラウド上でモデル利用権を売るビジネスが中心です。
企業によっては自社製品に生成AIを組み込んで販売するモデルもあります。例えば、営業支援ソフトに文章生成AIを搭載して付加価値を高めたり、コールセンターシステムに対話AIを内蔵して提供するケースです。日本のSaaSベンダー各社(SansanやChatworkなど)は外部の生成AI APIを組み込み、自社サービスの上位プランとして提供し始めています。今後、生成AI搭載が当たり前の機能となり、直接「AI利用料」を取るのではなく製品価格に内包されるモデルも増えるでしょう。
以上の形態に応じて、従量課金(APIコール数やトークン数に応じた課金)、月額課金(サブスクリプション)、ライセンス一括契約、プロジェクトごとの個別見積など収益モデルは様々です。OpenAIはAPI利用をトークン数で課金しつつ、ChatGPT Plusでは月額固定収入も得るハイブリッドです。Microsoftはクラウド利用料に含める形で従量課金(顧客はAzure使えば使うほど支払い)となり、逆にChatGPTを組み込んだ検索(Bing)は無料提供で市場シェア獲得を優先しています。日本企業の提供するコンサル型ソリューションは初期費用+月額保守料といった従来型SIビジネスモデルになりがちですが、こちらも結果的に安定収益につながります。
提携先やエコシステム(大手企業・政府・学術機関との関係)
生成AI分野では大規模提携や出資が相次いでいます。最大の例はマイクロソフトとOpenAIの戦略提携で、MicrosoftはOpenAIに累計100億ドル規模を投じ、AzureをOpenAIの独占クラウドとする契約を結びました 8。これによりMicrosoftはOpenAIの先進技術を自社サービスに活用でき、OpenAIは巨額の計算資源提供を受けるwin-win関係です。AmazonとAnthropicの提携も同様で、Amazonは計8億ドル以上を出資しつつ、自社AWS上でAnthropicのモデルを独占提供する方向です 6。
さらに、AmazonはAnthropicの主要クラウドとなりモデル開発にも自社AIチップを使わせるなど深い協業関係を築いています 6。他にも、Googleはコード生成AIのGitHub Copilotに対抗し、Replit社に出資提携したり、中国では百度がHuaweiと提携しクラウドとAIチップ分野で協力するといった動きがあります。日本企業では、トヨタやファナックがPreferred Networksに出資する例 4や、ソフトバンクがOpenAIと日本市場展開で協業検討と報じられる例があります 19。ソフトバンク孫氏は2023年に「ChatGPTとの連携を進める」と発言し、実際に国内通信子会社とOpenAIの協業を模索しています 19。
政策面・研究開発で各国政府との連携も重要です。米国ではOpenAIやGoogleら主要企業がホワイトハウスと協議し、安全対策の自主コミットメントを発表するなど協調しています。一方で中国は生成AIサービスに対し事前許可制や検閲義務など規制をかけ、百度やアリババと政府が協力して検閲体制を整えています。
日本政府は「柔軟なガバナンス」を掲げ、2023年G7広島サミットでは「Hiroshima AI Process(広島AIプロセス)」を主導しました 20。これはG7主導で初の国際的なAIガバナンスの枠組みを策定する試みで、2023年末に国際原則と行動規範が取りまとめられています 20。この中で日本企業や大学の専門家も政府と協力し、技術的見地から助言しています。
また、日本のNII(国立情報学研究所)が中核となり産学で国産LLM開発コンソーシアムを立ち上げるなど 13、政府資金を活用した産学連携が進んでいます。例えばMorphoや東大・東工大などが合同で日本語データ整備やモデル評価基盤を構築するプロジェクトが始動しました 13。このように、日本は官民でエコシステム形成を図り、国内企業を支援しています。
AI分野はオープンな学術コミュニティとも不可分です。海外ではOpenAIやDeepMindも論文発表やオープンソース公開を通じ、大学との人材交流が盛んです。MetaがLlama2をオープンソースで公開した際は、各国の研究者が協力して精度検証や改良モデル(例: Llama2-Japanese版など)を作成しました。
日本では日本ディープラーニング協会(JDLA)が企業と大学の橋渡し役となり、人材育成や技術標準化に努めています。また、東大松尾研究室発のベンチャーが多く生まれるなど研究室発スタートアップの動きもあります。
プラットフォームやコミュニティの存在も競争力を左右します。例えば、米国のHugging Faceはモデルやデータセットの共有プラットフォームとして世界的エコシステムを築き、各社がここで自社モデル公開やコラボを行っています。OpenAIはAPI経由で多数の企業アプリに組み込まれ、「ChatGPTプラグイン」という形で他社サービスとの連携も進めています。
日本では、ソフトウェア開発者コミュニティでの情報共有(Qiita記事やGitHubリポジトリ)を通じ、海外モデルの日本語調整やローカルプロジェクトが行われています。ただ、大規模プラットフォームは未だ海外主体であり、国内勢は積極的にそれらを活用・参加している段階です。
財務状況(売上成長率・利益率・研究開発費など)
前述の通り、多くの生成AI企業は売上急成長局面にありますが、収益規模や成長率は企業により大きく異なります。ハード提供のNVIDIAは2023年の年間売上約270億ドル、前年比2倍超という高成長かつ高収益を上げています。一方、OpenAIのようなスタートアップは売上こそ数億ドル規模(2023年見込み2億ドル)が精一杯ですが、翌年5倍増を計画するスタートアップらしいハイパーグロースを描いています 15。
日本企業ではNECのAI関連事業売上が数百億円規模(NEC全社売上の数%)に過ぎませんが、成長率は高く、例えばNECは生成AIサービスの社内検証を経て法人展開を本格化させる段階で今後の収益寄与が期待されています。富士通も2025年までにAI事業売上を現在の数十億円から数千億円に伸ばす中期計画を掲げています(※統合報告書より)。
生成AI分野は利益確保に時間がかかる場合が多いです。OpenAIは2024年に最大50億ドルの損失を計上すると報じられており 5、黒字化よりも先行投資を優先しています。実際、クラウド計算費用や優秀な人材確保のコストが非常に高いため、大規模モデル開発企業は当面赤字覚悟のところが多いです。対照的に、NVIDIAのように既に製品が成熟している企業は需要急増分がそのまま利益増に繋がり、2023年の純利益率は30%以上、四半期ベースでは前年同期比9倍(+800%超)という驚異的な利益成長も見られました。
日本企業では、NECや富士通のAI事業は研究開発費や人件費が先行しており、単体採算はまだ低いですが、親会社全体で支える形です。今後、生成AI事業が拡大しても、人件費やクラウド費用が重いため利益率は中程度に落ち着くとの見方もあります。
AIはR&D集約型ビジネスの典型であり、各社巨額を投じています。GoogleやMetaは年数兆円規模のR&D予算の相当部分をAIにつぎ込んでいますし、MicrosoftもOpenAIへの出資のみならず社内でAI研究開発費を増額中です。IBMはWatson事業でかつて巨額投資した経験からか費用対効果を重視した開発にシフトしていますが、それでもAI関連の買収や人材獲得に積極投資しています。日本では、富士通が年間1000億円超のR&D費を計上し全社の5%弱を技術開発に充て 21、その中でAIは重点分野とされています。また政府の補助もあり、国策プロジェクトに参画する企業は公的資金で研究費が下支えされています。
生成AIブームでベンチャー投資資金が殺到している点も財務上特筆されます。OpenAIの評価額は前述通り約15兆円規模に達し 6、Anthropicも2~3兆円との報道があります。各国のスタートアップが巨額調達を行い、2023年だけでもAI関連スタートアップに数百億ドル規模の投資がなされました 6。これは将来の市場への期待を織り込んだものですが、一部では過熱感も指摘されます。
株式市場でもAI銘柄に資金流入が起き、関連企業の時価総額が急騰しました(次章で詳述)。日本企業では、上場企業に対する期待上げはあるものの、未上場スタートアップへの国内VCからの大型投資はまだ限定的です。ただ海外VC(例: シリコンバレーのVC)が日本の有望生成AIスタートアップに出資するケースも出始めており(例:「日本版OpenAI」を標榜するスタートアップがシリコンバレー投資家から評価額1,000億円超で出資獲得との報道あり)、今後資本面でのエコシステム拡大も注目されます。
競争優位性(データ量・独自アルゴリズム・規制対応など)
高性能な生成AIを実現するには大量の学習データが不可欠です。Googleはウェブ全体のインデックスを保有し、そのデータ資産は他社にない強みです。同様に、MetaはSNSプラットフォームでの膨大なテキストデータ、YouTube(Google傘下)は動画・音声データを持ち、これらは生成AIのトレーニングに活かされています。中国のTencentもWeChatやQQのメッセージ・SNSデータ、Alibabaは電子商取引の購買データなど独自データ源が豊富です。対してOpenAIは独自ユーザーデータは薄かったものの、公開Webデータを収集(Common Crawl等)し、多言語コーパスで補いました。
またChatGPT公開後はユーザーとの対話ログが新たなデータ資産となり、それも強みになっています。日本企業は保有データ量で劣るケースが多く、特に日本語に限られた量的ハンデがあります。ただし、NTTや楽天など国内通信・IT企業は日本国内ユーザーデータを豊富に持つため、これらが国内モデル開発時のアドバンテージになる可能性があります。また官公庁と連携して日本語政府文書や新聞記事など大規模テキストを整備する動きもあり、ローカル言語でのデータ優位性を築こうとしています。
競争優位はアルゴリズム革新からも生まれます。Transformerの発明(Google)や対戦型生成ネットワークGANの考案(米大学出身の研究者)など、優れたアルゴリズムは一時的とはいえ競争上の非連続的アドバンテージをもたらしました。現在、OpenAIのGPT-4はモデル構造を非公開としていますが、その高性能は競合が追随する目標となっています。
また、MetaのLlama2は公開モデルでありながら性能を高めたことで「オープン戦略による優位性」を狙っています 10。Preferred Networksのように省電力なニューラルネット計算手法(スパース計算など)を独自開発する例もあります。日本企業はアルゴリズム面では必ずしも世界をリードしてはいませんが、NECの異種混合学習技術や、東大発ベンチャーの自然言語処理アルゴリズム(KyotoLMなど)が注目されるなど、特定領域での尖ったアルゴリズムが武器となる可能性があります。
Generative AIは誤用リスクや信頼性の懸念もあるため、「安心して使えるブランド」も競争力です。例えばOpenAIはChatGPTで知名度と信頼を築き、多少性能が劣っても知名度で勝るケースがあります。企業向けにはIBMやMicrosoftのように長年企業と関係を築いてきたブランドが「AIを安心して任せられる相手」と見做されやすいです。IBMはWatsonXで「データの機密保持・ガバナンス対応」を売りにしており、企業ニーズに合致しています 3。
日本企業も「国内企業だからデータを海外に出さず安心」といった点をアピールしており、実際、日本の金融機関などは海外クラウドではなく国内ベンダーのAIソリューション採用を検討する動きがあります。
AI規制が各国で検討される中、柔軟に対応できる体制も優位性を左右します。EUのAI法規制案では高リスクAIに厳格な要求が課される見込みで、対応には法務・技術の知見が要ります。米国では2023年に主要AI企業がホワイトハウスと安全性確保の誓約を交わし、モデル開発前のリスク評価やAI生成物の識別(透かし等)などを進めることになりました。
こうした安全対策やコンプライアンス整備に先手を打つ企業は、規制施行後も信頼を得てビジネス継続が容易でしょう。OpenAIやMicrosoft、GoogleなどはすでにAI倫理チームを有し、政策対応にもロビー活動を行っています。日本企業も2023年末に経産省が策定したAIガバナンス指針に沿って社内ルール作りを始めています。NECは「デジタルトラスト」専門家をチームに入れるなど組織対応し 2、富士通もAI倫理外部委員会を設けました。ローカル規制への素早い適合(例えば日本の個人情報保護法への対応、日本語モデルでの著作権処理など)は国内企業に一日の長がある部分です。
競争優位の一形態として、オープン戦略も挙げられます。MetaはLlamaシリーズをオープンにし、多くの開発者を巻き込むことでエコシステムを広げています。これにより中小企業や研究者が自由にモデルを改変・適用でき、結果的にMetaの存在感を高める効果があります 10。
一方、OpenAIやAnthropicはクローズド戦略でブラックボックスな高性能モデルを武器に大企業と提携を勝ち取っています。それぞれ異なる優位性ですが、開発コミュニティの支持とトップ性能の独占という形で分かれています。日本のスタートアップでは、スタジオオーサなど生成AI研究コミュニティと連携する企業もあり、オープンコミュニティ主導で優位性を築こうとする動きもみられます。
株価成長の要因分析
生成AI関連企業の株価は2023年前後から劇的な変動を見せました。その成長要因を(1)企業内部要因、(2)外部環境要因、(3)成長シグナルの3つに分けて分析します。
内部要因: 業績・製品発表の影響
投資家にとって最も直接的な要因は企業の業績です。例えばNVIDIAは2023年5月に発表した四半期決算で、次四半期の売上予想が市場予想を50%以上も上回り 12、“AI需要による空前の好決算”と受け止められました。これを受け株価は翌日+24%急騰し、同社の時価総額は一日で約2,770億ドル(37兆円)も増加 12しました。このように売上・利益の大幅成長や上方修正は株価急騰の引き金となります 12。日本でも、NECや野村総研(NRI)が2023年末~2024年初めにAI関連事業の好調を発表したことで、株価が短期間で15~17%上昇する場面がありました 1。これは決算発表と同時に、AIサービス普及への期待を織り込んだものです 1。
将来予測も大きな材料です。例えばOpenAIは非上場ながら、投資家向け資料で「来年収益10倍」の強気見通し 5を示したことで話題となり、関連企業(例えば大株主のMicrosoft)の評価向上につながりました。ガイダンスが保守的すぎると失望売り、強気すぎても信憑性が疑われますが、NVIDIAの例のように現実に数字を示すと説得力を持って株価を動かす典型となります 12。
技術企業の場合、新たな製品やサービスの発表も株価に直結します。Microsoftが2023年2月に「BingへのChatGPT統合」を電撃発表した際、Googleは対抗のAI検索発表会を開きましたが、このときデモで自社AI (Bard) の誤答が発覚し信頼を損ねたため、株価が9%急落(時価総額1,000億ドル≒13兆円消失)する事態になりました 7。逆にMicrosoft株はその日に約3%上昇しています 7。このように自社発表の内容と完成度が投資家心理に大きく作用します。生成AIは注目度が高いため、ポジティブな発表(画期的モデル公開、ユーザー数◯◯突破など)は株価押上げ要因に、ネガティブな出来事(重大なミス、プロジェクト中止)は大きな下落要因になります。
外部要因: 規制動向・市場環境の影響
各国の規制は企業価値に影響します。例えばEUが厳しいAI規制案を公表した際には、一部AI企業の株価が「欧州市場でのビジネス制約」を懸念して下落しました。中国政府が2023年に生成AIサービスへ厳格な管理策を打ち出すと、中国ネット企業の株価は一時伸び悩みました。一方、日本や米国は企業と対話しながら緩やかな指針に留める姿勢を示したため、「規制がイノベーションを阻害しない」との安心感が広がり株価の追い風となりました。日本市場では、政府が生成AIを成長戦略に位置付け支援する方針を示したことで関連銘柄が買われる場面もありました。総じて、規制強化のニュースは短期的にマイナス、支援策のニュースはプラスに働きやすいです。
生成AI関連といえど株価は市場全体の影響も受けます。2022年は金利上昇でハイテク株全般が売られ、AI企業も例外なく株価低迷しました(Google株は2022年に40%下落 7)。しかし2023年は景気底打ち感と生成AIブームが重なり、NASDAQ市場が大幅反発する中でAI銘柄は市場平均以上に買われる傾向がありました 1。
日本では米国以上にAI関連株物色の動きが強く、2023年初頭から2025年初にかけて日本のAI関連株指数が米国同業指数を上回る上昇を記録しました 1。これは日本市場特有の盛り上がり(出遅れ感からの急追)によるもので、外部環境が後押しした例です。
外部要因として競合の成功・失敗も波及します。前述のGoogle Bard失敗でMicrosoftが相対的に評価上げした例 7 7や、ChatGPT成功で他社の株価も「関連銘柄」として吊り上がった現象などがあります。例えば、ChatGPTブームの際には直接関係ない小型AI株まで投機的に上昇する場面がありました(ティッカーが「AI」のC3.ai社株が一時急騰したことは象徴的です)。逆に、ある分野で先行する企業がいると「後発組の商機が限られる」と見なされ株価が伸び悩むケースもあります。
成長シグナル: 提携・M&A・技術進展の影響
企業が発表する大手との提携や大口受注は株価に好影響を与えます。例えば、2023年にSalesforceがOpenAIと提携し生成AI機能「Einstein GPT」を発表した際、Salesforce株は上昇し市場も「既存ソフトにAI付加で収益増」と評価しました。また、国内でもソフトバンクが2023年秋に「国内でのOpenAI公式パートナーを目指す」と報じられると、関連するソフトバンクグループ株やヤフー株が上昇しました。M&A(企業買収)も強いシグナルです。2023年、QualcommがAIスタートアップを買収したニュースでは、自動運転向けAIに参入強化と受け取られ株価が反発しました。大企業による生成AI企業の買収はまだ始まったばかりですが、今後GoogleやMicrosoftが有望スタートアップを買えば市場はその分野への本気度を評価し、他社株にも波及効果が出るでしょう。
出資もシグナルとなります。AmazonのAnthropic追加出資(先述)発表時、Amazon株はAI戦略強化と捉えられ上昇しました 6。逆に、OpenAIの大型調達にAppleや虎の子VCが参加したという報道は、「バブル」との見方から一時Apple株が利益確定売りに押される動きもありました。しかし概ね、生成AIに資金を注入=将来成長への布石と見られ株式市場ではポジティブに反応することが多いです 6。
技術面の大きな進展も株価に影響します。OpenAIのGPT-4発表や、MetaのLlama2公開などは直接株価材料にはなりにくいものの、周辺企業の評価を左右しました。例えば、GPT-4発表後には「これを活用できるMicrosoftの優位」という分析でMicrosoft株が継続的に買われましたし、Metaのオープンモデル戦略が明らかになると「クラウド各社がそれを扱える環境整備で恩恵」という見方からクラウド株にプラス材料となりました。技術的ブレークスルー(性能◯倍向上や新機能)や実証実験成功なども、特に小型成長株では株価急騰を招くことがあります。日本では、2023年に東大発スタートアップが汎用AIチップの試作成功を発表した際に関連株がストップ高になるなど、技術ニュースがダイレクトに株価を動かす場面もありました。
以上のように、内部要因(業績・計画)が土台となり、外部要因(規制・競合・市場)が風向きを決め、そして成長シグナル(提携・技術進展)がトリガーとなって、生成AI企業の株価は大きく変動します。特に生成AIブーム期は期待値で動く部分も大きいため、ポジティブなニュースが重なると過熱気味に上昇し、逆にひとたび失望が生じると利益確定売りで急落するボラティリティの高い相場となっています 1。投資家はこれら要因を総合して敏感に反応している状況です。
主要ユースケースと企業のプロダクト応用例
生成AIは多様な分野で応用が進んでおり、テキスト、画像、音声、動画など生成するデータの種類ごとに主なユースケースがあります。それぞれの分野で日海外企業の取り組みとプロダクト例を紹介します。
デザインやコンテンツ制作支援として急速に普及しました。Stability AIのStable DiffusionやOpenAIのDALL·E 3、Midjourneyなどがテキストから高品質な画像を生成します。クリエイティブ業界では広告ビジュアルの試作やゲーム・映像のコンセプトアート作成に使われ始めています。実例として、日本の大手お茶メーカー伊藤園は2023年のCMでAI生成した架空の女性俳優を起用し話題になりました 19(映像上の人物が実在しない合成)。これは広告制作に生成AIを使った先進事例です。AdobeのFireflyは著作権クリアな商用利用可能画像を生成し、自社Photoshopに組み込むことでデザイナーがボタン一つで背景生成や画像修正できるようにしました。日本の広告代理店や制作プロダクションも試験的にAI画像を活用しており、将来的に制作コスト削減とアイデア発想支援の両面で重要なツールとなるでしょう。
音声分野ではテキストから合成音声を生成したり、特定話者の声色を再現する「ボイスクローン」が登場しています。例えば米国のスタートアップElevenLabsはわずかな音声サンプルからその人の声で読み上げる音声を合成でき、ゲームのキャラクターボイス生成や映像のナレーション作成に利用されています。
日本語でも、NTTやHOYA(ボイステキスト社)が高品質な音声合成エンジンを提供しており、コールセンターの自動応答やスマートスピーカーの声に使われます。またAIアナウンサーがニュースを読み上げる実証もNHK等で行われました。音楽の分野では、ソニーが研究したFlow MachinesがAI作曲を実現しポップス曲を生み出したり、OpenAIのJukeboxが特定アーティスト風の楽曲生成を試みたりしています。ユースケースとしてはBGMや効果音の自動生成、動画投稿者が著作権フリー音源をAIで作る、といったことが考えられます。
動画領域はまだ研究段階ですが、テキストから短い動画クリップを生成する試みが進んでいます。米Runway社のGen-2やGoogleのImagen Video、MetaのMake-A-Videoなどがプロトタイプを公開しました。完全な動画生成には高い計算コストがかかりますが、静止画からの動画補完(写真数枚から滑らかなアニメーションを作る)や実写映像のスタイル変換(ある映像をアニメ風に変える等)は実用化されつつあります。
実例として、ハリウッド映画のVFX制作で背景群衆をAI生成映像で賄ったり、ゲーム開発でモーションをAI補完するといった応用があります。また、バーチャルYouTuber(VTuber)の動作生成やアバター映像の自動生成など、日本のコンテンツ産業でも実験的導入が見られます。今後、映像広告をテキスト指示で自動生成するサービスなども登場する可能性があります。
患者の症状説明から診断補助文を生成する(問診票の自動記述)、新薬候補分子の生成(創薬AI)、医療論文の要約や翻訳。例えば東京大学医科研発のベンチャーUbieは問診AIで自由記述から疾病リスクを推定するサービスを提供しています(生成AI技術を応用)。
金融機関での報告書ドラフト生成、市場分析レポートの要約、チャットボットによる顧客対応。みずほ銀行は行内業務効率化に生成AIを活用する10年ビジョンを打ち出し、全社員が使える社内GPTを導入しました 22。
小説や脚本の共著AI、ゲームのシナリオ自動生成。既にAIが書いた小説が文学賞の一次選考を通過した例もあります。またゲームではプレイヤーの行動に応じてNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の台詞をリアルタイム生成する試みが進んでおり、より没入感のある世界観を作るのに役立っています。
各観点の比較を表にまとめると以下のようになります(※簡略化された例):
比較項目 | 日本企業の傾向 | 海外企業の傾向 |
---|---|---|
技術力 | 日本語などニッチ分野に特化。研究開発は一部世界レベル(NEC等)だがリソース制約あり 1。 独自チップ開発など効率化技術で勝負 4。 | 基盤技術から最先端モデルまでリード。巨額投資でトップ人材・計算資源を投入。 生成AI特許も米中企業が大半 3。 |
市場シェア | 国内市場で徐々に普及拡大中。生成AI利用企業はまだ全体の半数弱 1。 当面は海外モデル活用が主流。 | グローバル市場を席巻。ChatGPTがユーザ数トップ 14、クラウドも米大手が主導権 6。 中国市場は百度など国内組が独占。 |
事業モデル | B2Bソリューション中心。SI的にまとめて提供。 一部API提供や自社利用サービスも開始。 | B2CとB2B両面展開。 API経由のSaaSやクラウド提供でスケール サブスク課金や従量課金モデルが主体。 |
提携・エコシステム | 官民連携で国産LLM推進 13。大企業同士の提携例は少なめだが、トヨタ-PFNなど異業種連携あり 4。 国内コミュニティ形成途上。 | 巨頭同士の戦略提携が頻発(MS-OpenAI 8、Amazon-Anthropic 6等)。 オープンソースコミュニティ活発でHuggingFace等の場が確立。 |
財務状況 | 収益貢献はこれから。本体事業で支えつつ成長投資。 R&Dに注力しつつ徐々に商用化。 | 一部は既に巨額収益・利益(NVIDIA等) 12。 多くは赤字覚悟で成長優先(OpenAI等 5)。 投資マネー集中で評価額急騰 6。 |
競争優位性 | ローカル言語・市場への深い理解、国内顧客の信頼。 規制対応の俊敏さ、きめ細かなカスタマイズ。 | グローバルなデータ資源 3、トップクラスのモデル性能。 ブランド力・人材層の厚さ。 オープン戦略vsクローズ戦略を状況に応じ使い分け。 |
※上記は一般化した傾向であり、企業ごとの差も大きい点に留意。
最後に、生成AI分野は技術革新と市場拡大のスピードが極めて速いため、本分析の各比較ポイントも今後変化し得ます。日本企業が得意分野で国際競争力を発揮しつつ、海外企業と協調・競争していくことで、生成AIのユースケースがさらに拡大し新たな価値創出が進むことが期待されます。
参考
- 1: As DeepSeek inspires AI underdogs, Japan software stocks surge | KrASIA
- 2: NEC Joins The Race To Develop Japan’s Own Large Language Model (LLM): NEC Insights | NEC
- 3: Ranked: Top Companies by Generative AI Patents
- 4: Japan startup Preferred Networks designs own AI chips to beat bottleneck | Reuters
- 5: OpenAI offers one investor a sweetener that no others are getting | Reuters
- 6: Amazon doubles down on AI startup Anthropic with another $4 bln | Reuters
- 7: Alphabet shares dive after Google AI chatbot Bard flubs answer in ad | Reuters
- 8: Microsoft and OpenAI extend partnership – The Official Microsoft Blog
- 9: Why did Meta AI give a $100 million model for free? : r/LocalLLaMA
- 10: Open Source AI is the Path Forward | Meta
- 11: Nvidia dominates the AI chip market, but there’s rising competition
- 12: Nvidia briefly hits $2 trillion valuation as AI frenzy grips Wall Street | Reuters
- 13: Morpho AI Solutions Contracted by National Institute of Informatics to Develop AI-OCR for Academic Papers | News | Morpho, Inc
- 14: ChatGPT sets record for fastest-growing user base – analyst note | Reuters
- 15: ChatGPT owner OpenAI projects $1 billion in revenue by 2024
- 16: Microsoft’s complex bet on OpenAI brings potential and uncertainty
- 17: NVIDIA Announces Financial Results for Second Quarter Fiscal 2024
- 18: Japan Generative AI Market Size | Industry Report, 2030
- 19: Japan’s Trending Words in Our 2023 Stories: ‘Generative AI’ | JAPAN Forward
- 20: The Hiroshima AI Process: Leading the Global Challenge to Shape Inclusive Governance for Generative AI | The Government of Japan – JapanGov –
- 21: Fujitsu: R&D spending 2023 | Statista
- 22: Mizuho’s vision for finance in 1… | Mizuho Financial Group